薫る日々。

メンヘラ喪女の花嫁修業ダイアリー。

愛しているから

「もうあなたにとって私は過去の人なんだね。」
その言葉に彼は、
「今じゃないよね。」と言った。

***

絶対に別れたくなかったから、嫌われたっていい、思いっきり縋ってやろう、なんて思っていたのに、
さっぱりした様子の彼を見たら、
自然と、「幸せになって。」と言っていた。
捨てないで、なんて言えなかった。

だって私は、彼が望むなら何でも叶えてあげたいのだ。
彼に会えるなら京都だって東京だって会いに行くし、彼が別れたいって言うなら、辛くても彼を手放そうと思える。
だってもう彼にしてあげられることは、もうないから。これが最後にしてあげられることだから。
惚れた弱みだよね。
莫迦な女だよね。
うん、と私の中の私が笑う。

「私ほんとうにあなたのことが大好き。夢を見させてくれてありがとう。」

「こちらこそ。
至らぬ私に過分なお気持ち
感謝の念にたえないよ。」


***

次の日職場に行って、仕事をしながら
「ああ、今のこの生活は彼がくれたものなんだ」
と思ったら、ちょっと涙が出た。

前職を辞めて、仕事が見つからず心細かったとき、支えてくれたのは彼だった。
今の仕事が決まって、いちばん喜んでくれたのも彼だった。
距離は遠く離れていたけれど、いちばんそばにいてくれた。たくさん欲しい言葉をくれた。ありがたかった。

何もしてくれなくても、彼という存在がいてくれることが、ありがたかった。愛おしかった。

私は自分の好きって気持ちに自信がなかった。
この人と幸せになる!って、心から思えなかった。自分が幸せになることが信じられなかったから。

だから彼に自分を幸せにしてくれる保証を求めた。私をいちばんに思って愛してくれること、約束を守ってくれること、私のために煙草をやめてくれること。

でもきっと幸せは付き合っていたあのときにも、別れた今も、あったのだ。

彼がどんな人でも関係なかった。
嘘つきでも、
約束を守れなくても、
スロットと煙草が好きでも、
もう私を愛してくれなくても。

どんな彼でも大好きだった。愛していた。
愛していたから手放した。

ああ、私は今更、
自分がどれだけ彼のことを大好きだったのか気付いてしまった。

***

ただの友達には戻れないけれど、それでもやっぱり大切な人で、特別で、大好きな人だ。
その「大好き」がちょっとずつ、今までと変わって行っているのがわかって、それがどうしようもなく寂しい。
心にぽっかりと穴が空いたような、
何かとても大切なものを失った気がする。

「しあわせになって。」
祈るような思いで発した言葉が、いつか現実になったらいいと思う。

しあわせになって。
そうじゃなきゃ、私がこんな思いで手放した甲斐がないでしょ。

だからしあわせになって。
私もしあわせになるよ。
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