薫る日々。

花嫁修業ダイアリー。

珈琲の味

今月は二週間にわたって、スターバックスのコーヒーセミナーに参加してきた。

理由は二つで、一つは花嫁修業のため、もう一つは仕事でコーヒー関連の商品を扱っているため、もっと知識が必要だと思ったからだ。

旦那様に美味しい珈琲を淹れて、朝気持ちよく目覚めてもらい、夜には二人でカフェタイムを楽しむ。そしてその知識が仕事にも繋がって、お客様が求める情報を提供できるようになり、より満足度の高いお買い物をしていただけたら、一石二鳥じゃないか。

なんて、半分研修のような気持ちで参加して来た。

そして、私は見事、「珈琲」という深い深い嗜好の世界に足を踏み入れてしまった。

 今回参加したのは、「コーヒーをはじめよう」という初心者向けのミニ講座と、「おいしいコーヒーの淹れ方」という本格的なコーヒーセミナーの二つ。

まず初回に受けた、「コーヒーをはじめよう」。

講師は大学四年生のアルバイトの女の子で、今回が初めてのコーヒーセミナーだということで、酷く緊張していた。

参加したのは、私と医療系専門学生の男の子の二人だけ。

講師も受講者も私より年下だったので、初めて同士仲良くやっていきましょう、なんてのほほんと構えていた。

最初に出されたのは、スターバックスのシーズナル(期間限定)コーヒー、オータムブレンド。

次にアフリカのコーヒー豆・エチオピアをコーヒープレスで淹れる。コーヒーのテイスティングにも作法があって、まずは香りを楽しむ。

それからお茶を飲むときのように、コーヒーをすすり、舌の上にスプレー上にコーヒーを広げる。

すぐに飲み下さず、口の中でコーヒーを味わう。

そして自分が感じた、香り・味・印象を、「コーヒーパスポート」というスターバックステイスティングノートに書き込む。

コーヒーパスポートという名前がさすがスターバックス、洒落ているなと思う。

「世界中のいろんなコーヒー豆を味わうことによって、世界中を旅してもらいたい」という願いを込めてこの名前が付けられていて、入国スタンプの代わりにコーヒー豆のパッケージデザインのステッカーをもらい、自分で貼り付ける。

ここで格好良くテイスティングの感想を書き込めればよかったのだけれど、そもそもブラックでコーヒーを飲まない私にとっては、味の違いを感じるどころか、苦味に耐えるの精一杯で、気の利いた一言なんて浮かんでこない。

講師のお姉さんは一生懸命、豆の味の違いを言葉にしてくれるが、まるで初心なコーヒー初心者の私は、エチオピアを飲んでみて「これがコーヒーの酸味というやつなのか?」と確信までは至らない思いを抱くだけだ。

フルーティーな酸味、花のような香り、と言われても、まったくぴんとこない。

私にとってはコーヒーの香りで、コーヒーの味で、コーヒーの苦味である。

しかし隣にいる専門学生の彼は、私より4つも年下なのに、恐ろしくきめ細やかな舌を持っていて、つらつらとコーヒーの味の違いを語るので、びっくりした。

しかも味わった上で、自分のコーヒーの好みも把握し、コーヒーの複雑な味わいまで言葉で表現するので、本物のコーヒー初心者の私はお手上げ、降参、と白旗を振るのに徹した。

その後はスターバックスオリガミで自分でペーパードリップに挑戦。

私はパイクプレイスローストを淹れた。

今まで知らなかったのだけれど、ペーパードリップでは「最後の一滴」は飲まないそうだ。

抽出したコーヒーが適切な量になったら、お湯が残ったままフィルターごと捨てる。

日本茶だと「最後の一滴」が最高に美味しいというから、コーヒーもそうなのだろうと勝手に思っていたけれど、寧ろ嫌な苦味や雑味が出るそうだ。

自分で淹れたコーヒーと一緒にフードも食べ、味わう。

最後にフォームミルクも淹れてもらって、ああ、やっと私の好きな甘いカフェ・オ・レだ、と安堵した。

あっという間の一時間が終わり、講師のお姉さんからお土産をもらって、お開きとなった。

初めて受けたコーヒーセミナーの感想は、「完敗」。

自分にはコーヒーの味の違いなんて分からないのではないか?

コーヒーの味の違いもよくわからないのに、美味しいコーヒーが淹れられるようになるのか?

思い切って通常のセミナーも申し込みしてしまったけれど、早計だったのでは?

不安でぐるぐるした。

 

翌週、2回目のセミナー受講。

「おいしい淹れ方編」。

今回の参加者は、気さくなお姉さん二人だった。

初心者向けセミナーは1,500円だったけれど、今回は3,000円の本格的なセミナー。

そのためか、今回の講師はスターバックス10年目のブラックエプロンのお姉さんと、若くて可愛いアシスタントの女性(彼女もブラックエプロン)だった。

今回のセミナーは、本当に受けてよかった。

まず最初に、コーヒー豆がどのような過程を経て私たちの手元に届くのか、コーヒーの産地や精製方法、焙煎方法について、写真や図を見ながら説明を受ける。

基礎知識を理解したら、実際に味の違いを確かめてみる。

前回味の違いがほとんど分からなかったので、不安だったのだけれど、今回は地域の異なる三種類のコーヒーを、熱々のうちに同時にテイスティング

鈍感舌な私でも、はっきりとその味と香りの違いが分かった。

今回飲んだのは、アフリカのコーヒー「ケニア」、ラテンアメリカの「コロンビア」、アジア太平洋の「スマトラ」。

受講者三人のうち、二人が好きだといったのは「ケニア」。

私も香りは一番ケニアが好みだったけれど、味がダメだった。

どうやら私は酸味の強いコーヒーが苦手らしい。

前回、エチオピアよりパイクプレイスローストのほうが美味しいと感じたので、自分はもしかしたらラテンアメリカの豆が好きなのではないか?と思っていた。

「コロンビア」を飲んでみる。

慣れ親しんだコーヒーらしいコーヒーの味だ。

誰にでも万人受けしそうな、バランスの良い味。

酸味もコクもまろやかな、軽い印象のコーヒー。

やっぱりこれが好きかな、と思った。

次に飲んだ「スマトラ」が衝撃的な味だった。

今まで飲んだ二つのコーヒーどれとも違う、個性的で複雑で重厚な香り。

絶対苦くて私には飲めないだろう、と思った。

それが飲んでみると意外に、いやかなり美味しいのだ。

苦いというより味に深みがあって、舌触りがなめらかで…。

比較して飲んだ三種類の中でもいちばんこれが美味しいと思った。

あんまり美味しいので、スマトラだけ異常に飲んでしまったくらい。

その後、パイクプレイスローストを今回はコーヒープレスでいただく。

フォームミルクも作らせてもらい、ヘーゼルナッツシロップや大好きな蜂蜜を加えて、自分だけのアレンジコーヒーを楽しむ。

シュガードーナツもいただき、舌も心も甘くなった。

参加者の女性の一人が沖縄県出身で、沖縄はやかんで水を沸かすとやかんに白い跡がつくほど硬水なのだと語ってくれたり、講師の方がその日発売されたJIMOTO MADEの佐世保限定三河内焼のコーヒーカップの魅力を語ってくれたり、あっという間の楽しい二時間だった。

 

その日はほんとうにスマトラとの出会いが衝撃的で、初めて「コーヒーって面白い!」と思った。

コーヒー豆の種類によって相性のいいフードが違うというのも奥が深い。

いろんな組み合わせで食べ合わせを考えてみたくなった。

スマトラはチーズとも相性がいいらしいから、旦那様と映画を見ながらチーズやチーズケーキと一緒にスマトラを楽しみたいなぁ、コロンビアはナッツと合うから胡桃入りのクッキーと合わせてみたいなぁ、なんて妄想も膨らんだ。

お菓子を作るのも好きだから、その日焼いたお菓子にどのコーヒーが合うか、旦那様と一緒に実験してみたい。

ちょっとした研修、花嫁修業のつもりで受講したら、まんまとコーヒーの世界の奥深さと面白さに魅せられてしまった。

大好きなスターバックスの新しい魅力を見つけてしまった。

今度は「フードペアリング編」に参加したい。